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神戸理研に国内留学中

【担当】中野裕貴

現在、国内留学で神戸の理化学研究所にいます。私は医師としては16年目、博士(医学)を取得して5年目になります。これまでは硝子体手術を専門にして、病棟医長として大学の診療を支えてきました。留学もいろいろな形がありますが、私は香川大学での講師の地位を保ったままで(ありがたいことです)理化学研究所に客員として在籍しています。ややこしいことに出向先は理研ではなくビジョンケアという株式会社です。再生医療には資金が必要であり日本の公的な施設では都合が悪く、前身の神戸アイセンター病院から発展的に設立されたという経緯があります。私はこれからiPS細胞関連技術を利用した網膜の再生医療に関連する動物実験・手術を行うのですが、実施主体と出資はビジョンケアで実施場所が理研、ということになります。社内には複数のプロジェクトがあり、いずれもiPS技術を活用したものです。また、最近のトピックはAAV(アデノ随伴ウィルス)であり、目的の細胞に遺伝子を導入する技術です。眼科領域では、レーベル先天黒内障のRPE65両欠損患者向けにルクスターナ(米:ノバルティス)が最近日本でも承認されました。
幸い神戸は近く車で2時間で行けますので、週末は香川に帰っています。ウサギで硝子体手術を行っていますが強膜や網膜は薄く脆弱です。後部硝子体剥離は作れますが、内境界膜は剥ける気がしません。反面サルはヒトと近しい感じです。麻酔や給餌は係の人がやってくれるので、研究者は手術に専念できて楽です。他には眼科用のロボット手術のデモとかいろいろやっています。コントローラ片手に感覚はFPS(Minecraftみたいな感じの操作)。赴任して2ヶ月でようやく距離感がわかってきました。2年間?がんばってきます。

左:ビジョンケア代表の高橋政代先生とのショット
右:こんな感じで動物相手に手術を行っています