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黄斑疾患に関する臨床研究

黄斑疾患に関する臨床研究

研究概要

黄斑部は目の中で最も重要な役割をしている部分で、網膜の中心、つまり、見ている景色の中心に対応する部位です。

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[図1]

この黄斑にはいろいろな病気がおこります。加齢によって発症する加齢黄斑変性、強度近視が原因の黄斑変性、黄斑の中心に穴があく黄斑円孔、黄斑上膜など、その他、いろいろなことが原因となって中心が歪んで見えたり、中心が白っぽく見えたり真っ暗になってしまいます。

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[図2]

図2のイラストのように、中心だけぼやけてしまうと日常生活に支障をきたします。片眼だけの病気なら、遠近感が分からなくなり立体視も不可能となりますが、両眼に発症することは少なくないため、黄斑の病気は早期発見早期治療が必要です。

黄斑外来で特に治療に力を入れているのが加齢黄斑変性です。加齢に伴い黄斑が傷んで視野の中心が見えなくなる病気です。両眼に発症することが比較的多く、放置しておくと、視力経過はたいへん悪い病気です。病的な新生血管の発育を阻害する抗血管新生薬の眼内への注射が治療の中心となっています。現在のところ、薬剤は3種類あり、新生血管の活動性や全身の内科的病気、年齢などを考慮して、注射する薬剤の投与方法、投与間隔や、3種類の薬剤をうまく組み合わせて投与するなど工夫して治療しています。

また、黄斑が傷む病気で、糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症など動脈硬化が原因となって、黄斑部が腫れて視力低下がおこるものもあり、黄斑の腫れを引かせる薬剤の眼内注射やレーザー治療、硝子体手術を行っています。

香川大学医学部附属病院にはたくさんの黄斑疾患の患者さんが受診されます。薬剤の治療効果や手術適応の基準を決めるなど、患者さんにとって最も良いと考えられる治療法を実際行うことができるように、治療に直結した臨床研究を行っています。全国に先駆けた最先端の治療を受けてもらえるよう心がけています。

主な研究テーマ

滲出型加齢黄斑変性患者に対するアイリーアの臨床的有効性の検討(UMIN000010171)

滲出性加齢黄斑変性患者50例50眼に対してアフリベルセプト(アイリーア)の導入期(1ヵ月毎3回投与)後の2ヶ月毎に1回投与するproactive治療の臨床的有効性を検討しました。アフリベルセプト初回投与12か月後の最高矯正視力の維持割合、最高矯正視力の変化量、中心窩下網膜厚の変化量、滲出性変化、自発蛍光の変化、ポリープの退縮率について、前向き研究を行いました。その短期治療成績において、初回導入期より高率に滲出が消失、減少し、視力の維持改善が期待できることを第67回日本臨床眼科学会で発表しました。

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滲出型加齢黄斑変性患者の治療後の地図状萎縮に対するウノプロストン0.15%点眼液の臨床的有効性

香川大学特許取得 発明代表者:白神千恵子

滲出型AMDに対する抗血管内皮増殖因子薬(anti-vascular endothelial growth factor drug:抗VEGF薬)治療の後に地図状萎縮が出現・拡大し、それに伴い長期間で経過をみると視力が低下することがさまざまなエビデンスから明らかになってきました。 第118回日本眼科学会総会(東京)において、「滲出型加齢黄斑変性患者の治療後の地図状萎縮に対するウノプロストン0.15%点眼液の臨床的有効性」を発表しました。 香川大学医学部眼科当科で実施された自主臨床研究はUF-021 0.15%点眼液を用いて行われ、当該研究によりウノプロストンが、抗VEGF薬治療後の地図状萎縮の拡大に対して抑制効果を有することが示されました。

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滲出性AMDに対するアフリベルセプト治療効果不十分例へのラニビズマブ切り替え投与の有効性 (UMIN000012724)

アフリベルセプトが使用可能となり、これまでのスタンダード治療であったラニビズマブによる治療で効果不十分であった患者への切り替え検討は現在、当施設に加え全国的にも複数の施設で検証中です。しかしながら、アフリベルセプト効果不十分な患者への有効な治療法は明らかになっていないのが現状であり、ラニビズマブによる切り替え治療を行うことでそのような患者の視力、中心暗点を更に低下させないように、維持もしくは改善できれば自立した生活が可能です。したがって、滲出性加齢黄斑変性患者に対してアフリベルセプトで治療効果不十分と医師が判断した患者に対して、ラニビズマブによる切り替え治療を行い、臨床的有効性を検討しています。

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