私は今年の春から医師になり、初めての研修科で眼科を選択しました。眼科を選択したのは視る、という機能は普段の暮らしの基本であり、その重要性はもちろんのこと、眼科の疾患は眼球内で完結しているものも多く、まだ知識の乏しい医師になったばかりの私でも学びやすいのではと考えたからです。3か月間の眼科での研修を終えて、この選択は正しいものだったと確信しています。
眼科の研修では、外来、病棟、手術室での研修をバランスよく行うことができました。
外来には毎日100人に及ぶ他科では考えられないとても多くの患者さんが来院します。
私は外来では新患の患者さんの予診と診察前の検査のオーダーを行っていましたが、患者さんの背景を把握し、どのような検査が必要か、この患者さんにこの検査は行ってもよいか、などと考えることは、病態を理解したり、関連した疾患の理解にも役立ちました。
病棟では多くの担当患者さんに接することができました。眼科の患者さんは入院期間が短く入れ替わりが多いので様々なケースの患者さんに出会うことができました。初めの頃は診察の手技が拙く患者さんに負担を掛けることもあったと思いますが、少しずつ所見が取れるようになり、最終的には眼底を見たり眼圧を測ることが楽しいと感じるまでになりました。他の先生がカルテに記述している所見が自分でも見えたときは成長が実感でき達成感がありました。
手術室での実習は全ての診療科の中で眼科が最も充実しているのではないかと思わせるものでした。第1助手を1か月たった頃から任せてもらえる診療科は他にはないと思います。実際に第1助手につき、術者の先生が今何をしていて、次に何が必要になるか常に考える。これはモニター越しに手術を見るだけより、何倍も手術の内容や患者さんの状態を把握する力が身につくと感じました。
最後に、研修医の日々を眼科ではじめてよかったと思った最大の理由は眼科のスタッフの方々です。医師、看護師、視能訓練士の方々には医師に成りたてのヒヨッコの私を本当に優しく辛抱強く指導していただきました。私は物覚えが悪いので何度も同じ間違いをすることもありましたがそのたびに丁寧に指導していただいたので必要な仕事の内容を覚えることができました。
研修医最初の一歩を、眼科の道から踏み出すことができてよかったと思っています。