トップページ  > 特別コンテンツ  > 第26回日本ロービジョン学会学術総会
活動レポート

第26回日本ロービジョン学会学術総会

【記事区分】大会・学会・勉強会
【担当】中村 舞
【日程】2025年5月23日~25日

5月23日から25日にかけて広島で開催された第26回日本ロービジョン学会学術総会に参加して参りました。
会場である広島国際会議場から歩いて5分ほどで原爆ドームがあります。私事ですが原爆ドームは小学生の時に修学旅行の平和学習で来て以来10年ぶりだったので懐かしさが込みあがり、ついつい写真を撮ってしまいました(下の画像です)。会議場の周囲は修学旅行の学生や旅行客で大変にぎわっている様子でした。

今回の学会に参加して印象に残った発表は大阪大学大学院生命機能研究科・特任教授 不二門尚先生がご講演してくださった『特別講演Ultra-low visionの視覚回復に向けて』でした。
光覚はあるが物の形が分からない、視力が指数弁以下の重篤な視力障害であるUltra-low vision(ULV)に対して、人工網膜の臨床研究結果や視機能評価、リハビリテーションの検討などをご講演していただきました。
その中で非常に驚いたことは臨床試験で人工網膜がONの状態の時に3例中2例が歩行テストの明らかな改善が見られたことです。細胞消失期に対する治療である人工網膜で歩行の改善がみられるなら、患者さんのQOLの改善の可能性があるということだと思います。
現状は患者さんの期待と実際得られる疑似視覚(phosphene)のギャップでなかなか満足度は得られていないようではありますが、人工網膜により得られた疑似視覚が今後より広範囲に、より高解像度になることを期待しています。

また5月24日には第3回ロービジョンサポート塾に参加させていただきました。
症例に対してグループディスカッションを行い、様々な意見を持つ人との交流はとても刺激になりました。専門的にロービジョンケアをされているCOさんの経験則は新鮮でした。
サポーターの方からロービジョンケアで押さえておきたいポイントも丁寧に解説してくださったため、改めて学びを深めることができました。
勉強会を企画運営してくださったサポーターの皆さまへ、心より感謝申し上げます。
学会を通してロービジョンケアとは正解のないケアだと感じました。
患者さんによって求めるケアも提供できるケアもまさに十人十色、正解がないからこそ提案できるグッズや支援などの知識は豊富でなければ最善なケアは行えないということも痛感いたしました。
知識だけでなく患者さんのニーズの引き出し方など経験や対応力も求められるので、本当に課題は山積みです…。
まだまだ知識も経験も不足していますが患者さんへより良い生活を送る手助けをするため、これからも勉強したいと思います!