研修医の方For Resident
山下 彩奈
先輩からのメッセージ
山下 彩奈
ブランクなくキャリアを積み、仕事に充実した日々
平成9年に眼科医になってから、今まで一度もブランクなくキャリアを積んできました。女性にとって人生の一大事、妊娠・出産に遭遇することがなかったからです。仕事を始めた頃は今はキャリアアップに専念したいと仕事に打ち込んできたし、周りに子持ちが増え「そろそろいいかな」と思った後もなかなか授からなかったため、今はまだ仕事を頑張る時なのだろうとずっと励んできました。黄斑専門外来を担当させていただき、原稿執筆依頼も増え、全国学会のシンポジストも経験できるまでに育てていただき、教室内でも病棟副医長、医局長と経験させていただきました。いつの間にか不惑の年を迎え、このまま授からないかもしれないと一抹の寂しさを感じたりもしましたが、他大学の友人からも学会の度に「今すごい仕事ノッてるよねぇ。」と言われるほど充実していたと思います。
ついに、コウノトリが!
そんな時、ついに私のところにもコウノトリがやってきたのです。初めは高齢でも妊娠悪阻さえなければ産前6週までは働けると思っていました。ところが、高齢はそれだけで壁となるだけでなく、様々な合併症の原因ともなっており…。妊娠10週頃からしばらく音沙汰なしだった持病の失神発作が頻発するようになったのを皮切りに、その後は2か月間、筋腫の変性を何度となく繰り返し、その度に数週間の自宅安静を言い渡されるようになってしまいました。その度にお腹の子は大丈夫なのか不安になる、体は日常生活もままならずつらい、だけでなく、その上、突然仕事に穴をあけることになるため、皆に迷惑をかけまくりです。…身体的にも精神的にもぐちゃぐちゃになるかと思いました。
教室全体で臨機応変な親身な対応で、高齢妊娠をサポートしてくれたからこそ。
しかし、失神発作が出始めるとオンコールを免除してもらえたり、筋腫変性の繰り返しで度々休まざるを得なくなると、毎度毎度、急な欠勤になってしまうにも関わらず、外勤を交代してもらえたり、大学の担当外来もただでさえ激務であるにも関わらず、皆で協力して私の分を代診して、私はできる時に出勤すればよいようにしてもらえたり、教室全体で皆さんが臨機応変に、親身に、思いがけない高齢妊娠をサポートしてくれたおかげで、精神的に大変救われました。うちは少人数の教室なので、このように急に仕事に穴をあけるようになるとマンパワー不足のためかなり厳しい状況なのですが、少人数で仲の良い教室だからこそ、皆が一丸となって親身になって問題と向き合い協力してくださり、大変ありがたかったです。
産後の復帰もきっとうまくやっていけると思います。
今後、産後の復帰にあたっても、私の場合は両親、義両親ともに遠方に住んでおり、これまでに出産されてきた先生方と条件が異なるため、スムーズに復帰できるかどうかが問題なのですが、きっとまた教室の皆と相談しながらうまくやっていけると思っています。