2024年11月23日にJRホテルクレメント高松にて第98回香川大学眼科研究会が開催されました。
特別講演Ⅰでは東京大学医学部附属病院眼科 講師 坂田礼先生に『緑内障点眼治療~配合点眼薬の位置づけについて考える~』をご講演いただきました。
緑内障は慢性進行性疾患として長期的な治療が必要となり、アドヒアランスが重要とされています。治療を継続するなかで点眼の本数が増加することもありますが、配合剤を選択することで患者さんへの負担軽減とアドヒアランスの向上・維持を期待されます。
治療強化のタイミングを決めるために検査結果で注目するポイントなどを伺って、先生方の診療・治療をサポートできるような検査を心掛けたいと改めて感じました。
検査前に患者さんのカルテを見るときには点眼の変更の有無も注目して確認しようと思います。
特別講演Ⅱでは埼玉医科大学医学部眼科 教授 篠田啓先生に『網膜視神経疾患の形態と機能』をご講演いただきました。
講演のなかで個人的に印象に残ったのはERGとVEPの他覚的な視野評価についてです。様々な症状を伴っている視野障害の場合、動的・静的視野検査では、視野異常が網膜の障害由来か中枢障害由来によるものなのか鑑別は困難です。その場合にはERGとVEPを施行することで鑑別することができる、という自覚的・他覚的視野検査を用いた総合的な視野評価の考え方はとても勉強になりました。
また眼位が内転位で血流が下がるLSFG、視野検査のときには頭位などの検査姿勢を今一度注意して検査しなければならないなと感じました。
特別講演Ⅲでは北海道大学大学院医学研究院 眼科学教室 教授 石田晋先生に『脈絡膜循環から診たパキコロイドの成因』をご講演いただきました。
脈絡膜の循環機能の低下に伴う炎症性腫脹(VKHなど)と脈絡膜のうっ滞と過灌流による非炎症性(CSCなど)の相違点を、脈絡膜循環の機能を軸にお話しして下さいました。
滲出性網膜剥離の機序として脈絡膜血流が静的パキロイド/うっ滞(1st Hit)を起こし、動的パラコイド/過灌流(2nd Hit)が加わることで出現する、という考えはとても分かりやすく、CSCの病態について知識を整理し、理解を深めることができました。
Closing Remarksでは香川大学医学部形成外科 主任教授 永竿智久先生に『形成外科で行う『目』の手術』をご講演いただきました。
様々な症例を貴重な写真とともに解説してくださり、術後・術後の患者さんが眼科に来院されることはあっても、術前術後のビフォーアフターの写真をまじまじと見る機会がなかったため、とても興味深い内容でした。
術後の患者さんの多くが晴々とした表情をしており、見た目を改善することでQOLを上げることも患者さんにとって大切な事だと感じました。
ご多忙の中、遠方からお越しくださりご講演してくださった先生方に御礼申し上げます。貴重な機会をありがとうございました。今回学んだことを生かして患者さまにとってより良い医療を提供して参りたいと思います。
写真は講演後に開催された情報交換会の様子です。
とてもおいしいお料理がたくさんありました。